一、礼儀正しい人になろう
○礼儀正しい人は姿勢が良い。姿勢が良い人は目線にムダがなく隙がない。隙が ない人は強く美しい。その美しさは周りにいる人までも爽やかな気持ちにする事ができる。
* 《お父さん・お母さん》 お子さんに武道をやらせたいとお考えのご父兄の大半が、武道を学ぶ事で『しつけ教育』になるとお考えで、そう言った効果を期待されていると思います。 しかし、「しつけは1日にしてならず」です。子供達が道場で習った事を、家 庭の中で実践できるようにお父さん・お母さんが理解し、範を示していただく 事が重要です。子供は大人の合わせ鏡、「模範」のモは「模倣」のモ、子供は 親のマネから始めます。
一、親を大切にする人になろう
○自分が嫡しい時、同じだけ喜んでくれるのは親。自分が哀しい時、 一緒に泣いてくれるのは親。親だけは、最後まで自分の味方でいてくれる。
* 《お父さん・お母さん》 私の友人で、若い頃かなりやんちゃをして親を困らせていた男がいました。と うとう警察にお世話になってしまい、身柄を引き取りに来たお父さんが彼に言 った言葉にこういう台詞がありました。『何をやったとしても、オレはおまえ の父親だからな』-彼は涙があふれて止められなかったそうです。
子供には自分を信じてくれる親の気持ほど嫡しいものはありません。
一、命にやさしい人になろう
○花も木も虫も鳥も、そして人もすべて持っている命はひとつ。こんなに科学が 発達した今でも、人間は「無」からアリ一匹創りだせない。自分より弱いもの に優しくなれる、命あるものを大切にできることは強さの証し。
* 《お父さん・お母さん》 自殺やいじめ、教育現場の荒廃、そして親による虐待・・・。子供達を取り巻く環 境はますます憂れうるものになっています。そう言った事の歪みは子供達の心 や行動に現れてしまう。テレビやゲームで『殺す』事が当たり前になってしま っている今だからこそ、生活の中で「いのちの大切さ」をくり返し説いてあげ て下さい。一番守りたいのはあなたの命だと。耳にタコができたっていいじゃないですか。タコ位で命を大切にできるなら安いもんです。
一、物をだいじにする人になろう
○様々な道具は自分の生活を豊かに楽しくしてくれるだけでなく、それを使いこ なす事で新しい発見をする手助けをもしてくれる。物のあつかい方は心の有り 様を映す鏡。物を粗末に扱う人は自分の生活を粗末にしている。
* 《お父さん・お母さん) 壊れたら買えばいい、飽きたら捨てればいい。欲しい物がお金さえ出せば手に 入る、今や日本中がそんなコンビニ的価値観に浸ってしまっています。すぐに 手に入らなければ我慢出来ない、ダダをこねる、挙げ句の果ては人の物にまで 手を出す・・・。『うちの子に限って』はもはや通用しない時代です。物を大切に する事で、我慢や工夫を、そして金銭には代えられない価値が存在する事を教 えてあげて下さい。まずは道着をしっかりたたむ事から。
一、強いからだの人になろう
○健康な体をつくるためには、食事、運動、睡眠をバランスよくする事が大切。 好き嫌いしないで何でも良く食べ、道場のない日も一日一回は汗をかくまで体 を動かし、夜更かししないで良く眠る事。
* 《お父さん・お母さん》何ごとも健康なからだがあって、はじめて心置きなく挑戦できる、これは大人でも子供でも同じ。だけど生活習慣と言うものはそう容易く改められません。 まずは三日。どこかの本にも『三日坊主を恐れるな』と書いてありました。始める時は燃えるような意志があってもつい冷めてしまう、それは仕方ないんです、人間だから。でもそれは「二度としてはいけない」と言う意味ではありません。『またやってみようかな』と言う時も来ます、人間だから。諦めないで 何度でもチャレンジしましょう、できたらお母さんも一緒に。
一、素直な心の人になろう
○素直に学び、素直に感じ、素直に考える。すると、知らず知らずに心が豊かに なる。人の気持ちを思いやる想像力が生まれ「ありがとう」と素直に言える感謝の気持ちが生まれる。
* 《お父さん・お母さん》素直なのとただ盲目的に従順なのでは大きなヘだたりがあります。 空手道独特の言葉に『押忍 (おす)』と言うものがあります。これは「押」と 言う前へ出る意味と「忍」と言う我慢を表わす、いわば相反する意味の漢字で出来ています。これは、『先生や先輩、目上の人の言う事はまず我慢してしっかり聞きなさい。なぜなら、その人達は自分よりも多くの経験を積んで、自分 が知らない事も知っている。自分が今理解出来ない事もちゃんと分っているか もしれないから。ただし、常に心の中では相手を押し返すつもりでいなさい。 たとえ、相手が先生であっても。』という意味だと教わりました。まさしく、「素直」に深く通じるものだと思います。ちなみに、空手でも学校でも、教え る立場の人に言わせると『素直な子ほどよく理解し伸びる』というのは共通の 認織です。
解説:空手道無限塾相談役 岩崎 慶太